転職は一億円損をする!

転職は1億円損をする (角川oneテーマ21)

転職は1億円損をする (角川oneテーマ21)

現在私は転職を含めて、自分のキャリアプランを練り直そうと
しているのだが、そんな時に駅構内の書店でこの本と出会った。
新書でありがなら目立たない場所にディスプレイされていたが
圧倒的にタイトルに惹かれたのでつい買ってしまった。


「いくらなんでも暴論だろ」と思ったのだが、この手の本は
「そこまで言うんだったら聞いてやろうじゃないの」という
心がくすぐられて結構好きだ。
まず著者の「主張がタイトル」の時点で堂々としていて潔い。


読み始めてみると、自分は給料が良くて、仕事にやりがいがある
(私の場合やりがいは世間の影響力や自分が商品を好きかで決まる)
の2点でしか転職を考えていないことに気がついた。
他にも考慮する点として、退職金、企業年金、健康保険、住宅補助、
交通費など、今の自分の会社ように福利厚生がしっかりしていて、
定年まで勤めあげることでこそより多くの恩恵を享受できる仕組みに
なっている会社を「ぱっと見の年収アップ」や
「やりがい(そもそもやりたいこともはっきりしていないくせに)」
のような理由で切り捨ててよいのかと著者は問うている。
また社内の雰囲気が自分にあっていて、信頼できる上司先輩がいる
ことのメリットはお金には変えられないものであると。


安易な転職をすることで失う生涯賃金の総額が1億まで積みあがる。
1億の計算はかなりナンセンスなものも含まれているが、
確かにその当たりを良く考えていなかった私にとって気づきとなった。
ただ、著者が警鐘を鳴らしているのは、
「後ろ向きな理由による目的の不明確な早期転職」である。
ならば「今よりも福利厚生も厚く、社内体制のしっかりとした
大手へのキャリアアップ転職」ならば問題ないんだなということが
逆説的に分かった。もちろん、願わくばそれを目指したいものだ。


また、それでも転職したいアナタへと前置きをされて始まった章では
商品(自分)のことをよくわかってもいないのに、若さだけを売りに
するような転職はうまくいくはずもないと釘をさしている。
以下グサグサきた採用担当の言葉の抜粋。
・新卒で採った同じくらいの年の人が持っていないものを
私は持っていますということを示してもらいたいですね。
・「御社ならやりたいことができると思いました」と言う方もいますが、
「じゃあ、できなかったらどうしますか?」と質問します。


若いときに転職をするか否かの成否については自分で結論が纏まったら
書こうと思う。今の自分にとってはなかなか良い本だった。