オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

 

 

オードリー・タンは台湾の閣僚だが、私と同年代(1歳上)ということで興味を持った。

 

当初では、彼女のAI観、人格を形成した経験、台湾の先進的なDXについて語っているが、日本向けの本ということで日本のアニメや事情を例に出しながらわかりやすい語り口で書かれており、非常に聡明な人物であることが伺い知れた。

そして、彼女の信念でもあるオープン、インクルージョンという理想を、政府が実現するためにはどうすればいいかという実例を示しているのが非常に参考になった。

 

以下メモ

 

<影響・人格形成について>

柄谷行人さんという日本の学者の交換モデルX(見知らぬ人と見返りの関係にならずに交換する)という新しい概念に共鳴。
柄谷氏とは、カント、マルクスフロイトがバックグラウンドとなっているところにもシンパシーを感じたとのことだが、私もそろそろ哲学に入門してみたいと思った。

オードリーの人格形成には、新聞記者でもあったお父さんの影響が大きい。ソクラテス式問答法での対話を常とし、誰からも概念を植え付けられず、クリエイティブな思考力が鍛えられた。

 

<政策・取り組み>

マイノリティに寛容、そして若者の政治参加意識が高いことから台湾の政治が上手く機能している印象を受けた。

オードリーはパブリック・デジタル・イノベーション・スペースという社会課題をデジタルで解決する組織を作った。その取組の一環でvTaiwanというデジタルプラットフォームを創ったが、同プラットフォーム上で2ヶ月以内に5,000人が賛同した意見は、政府が必ず政策に反映する。

また、総統杯ハッカソンというものを毎年開催しているが、賞品はプロジェクター機能を備えたトロフィーで、スイッチONすると「みなさんが3ヶ月かけて作り出した作品を、私たち政府は今後1年以内に必ず公共政策として実現させます」というメッセージが流れるようになっている。これは粋だ。

リタイアして時間にある世代が地域貢献を熱心にやってくれていて、尊敬の意味を込めて「黄金聖闘士」と呼ばれているとのこと。台湾ほんまに聖闘士星矢好きやな。

 

<若い世代の育成について>

子供と話す時、子供と同じ身長の3Dキャラクターになって話した(オードリーは180cmあって子供から見ると威圧感があり話しづらいことへの対策)

 

必ずこうしなければいけない、これを勉強しなければいけないとせず、特定の方向性を設定せず学ぶことが大事。子供の興味があることを励まして背中を押してあげること。
 ⇒これは耳が痛い話。でも最低限やることはやってほしいんだよなー。最低限できてる子の話だよね?それ。

プログラミング思考を学ぶのはいいが、プログラミングスキルを学ぶことが目的になってはいけない。音楽を奏でるため、苦手な分数の計算をさせるため、プログラムを書くというのが理想的。
 ⇒これは目から鱗。確かになぁ。

 

別の本もいっぱい出てるので読んでみたいと思った。