池上彰の世界の見方 ロシア
とてもいい本!このシリーズ全部読みたい。
15歳にわかるように書いてある本だというので自分にもすごくわかりやすかった。
今までロシアのこと全然わかっていなかったようだ。
歴史・地政学
- ロシアは国土は広いが、北極海に囲まれた寒さの厳しい国
- 歴史的に南下政策、不凍港の獲得を目指してきた
- ロシア帝国→ソビエト連邦→ロシア共和国(CISの主要国)
- ソビエト=ロシア語で評議会の意味
- CISになってからはソ連の持っていた権利関係をロシアのものにした
(国連の常任理事国など)
政治
- レーニン→スターリン→フルシチョフ→ブレジネフ→ゴルバチョフ→エリツィン→プーチン
- マルクスは資本論で資本主義を批判したが、社会主義がどうあるべきかは論じなかった。そのため、ロシアは手探りで社会主義国家を創っていくこととなった。
- 共産主義は国家がない状態を指す、社会主義国家はそこに向かう過程の国家
- スターリン時代に少数民族が固まって暮らしていると将来独立運動を起こすかも知れないということで数百万人単位の強制移住を行った(クリミア半島のタタール人、チェチェンなど)
- 社会主義で企業同士の競争がなかったので技術革新が起こらず世界から立ち遅れた
- ゴルバチョフがソ連立て直しをしようとした(ペレストロイカ、グラスノスチ、新思考外交)が、元々がひどすぎてうまく行かなかった。冷戦を終わらせてノーベル賞を受賞した英雄だが、国内では全く人気がなかった
- 2000年頃からプーチン大統領がずっと権力を握ってきた。任期満了で一時的に同輩に大統領を任せていたが次の大統領選で再選して今に至る
- 太平洋戦争終結前に占領した国後、択捉、終結後に占領した歯舞、色丹で扱いが異なる。国際法的には、終結後に占領しても無効で返還しないといけない
- ただ、日本は4島一括返還に拘っており、折り合わずに平和条約が結ばれていないため国境がいまだ曖昧な状況。国境が確定してしまうと瀬戸際に米軍基地を作られてしまうことを懸念しているが、日本に天然ガスを売りたいので領土問題を解決したいという気持ちもある。
資源
- 石炭と天然ガスの世界有数の原産地
- 中東戦争でアラブ諸国から「イスラエルに敵対する国には安く原油を売る」という宣言が出たので原油価格が高沸し(オイルショック)、一時的にロシアも潤ったが世界各国ではオイルショックをきっかけに節約するようになり、また暴落しソ連崩壊に繋がる
- その後、中国、インドなどの経済成長で石油の消費が増えて原油価格が持ち直したが、近年アメリカでシェールガスが採れるようになった(現在世界一位)のでまた困っている(ので、日本にシェールガスを売ろうと北方領土返還をちらつかせてすり寄ってきた)
- 地球温暖化の影響によって北極海が凍結することが少なくなってきており、通行料の高い既存の運河を介さない航路として目処が立つ可能性がある
- また、北極海の海底資源に目が向けられるようになった
ソ連崩壊の理由
その他
- 核ミサイル保有国同士は、お互いに核ミサイル基地を狙い合うので、アメリカはアリゾナやネバダの砂漠の地下に縦横無尽にトンネルを掘って、貨物列車でミサイルを移動させてどの場所にあるのか分からないようにしている
- スパイは活動している国での諜報活動の98%は新聞、雑誌、テレビ、ネットから。インフォメーションの蓄積でインテリジェンスに昇華させる
読んでみて疑問が残った点
- ソ連崩壊とはなんなのか?社会主義を諦めることが何故それに繋がるのか?
現在、社会主義を諦めて資本主義に成っているのだからアメリカと対立する理由もなくなったのではないか。いまだ同じ瀬には立っていないような感じがするのはなぜか? - なぜ、西側諸国は社会主義国家を恐れ、対抗しようとしたか(トルーマン・ドクトリンが打ち出された理由)社会主義革命を起こされては困るからと言われるが、そこまで恐れるようなことだったのか?他国に介入してクーデターを起こさせて(チリ)まで潰さないといけないことなのか?
- なぜ、社会主義国家=言論弾圧 になるのか?
- なぜ、共産党の最高ポジションは書記長なのか?そういえばゴルバチョフも書記長だった
残った疑問の顔ぶれを見ると、社会主義に対する理解が不足していることがわかるな。
もっと社会主義の勉強をしていきたい。
その結果、共産党員になったりして。