池上彰と世界の見方 ドイツとEU

 

 

ドイツとEUざっくり歴史

第二次世界大戦でドイツはソ連に侵攻し大打撃を与えた。

その後、巻き返して東ドイツを占領したソ連は戦後処理のためのヤルタ会談での合意を守らず、東ドイツそして東ヨーロッパ諸国を抱き込んで社会主義国家とし、ソ連側陣営とする。(やりたい放題に見えるが、アメリカやイギリスは何故止められなかった?)

それに対抗して西側諸国によるNATOが組成された、さらにそれに対抗して東側諸国によるワルシャワ条約機構が組成された

第二次世界大戦終了後、ドイツ・フランス国境付近で採れる化石燃料資源を巡ってまた戦争が起こらないよう周辺国で共同管理する組織を作った。それがのちのEUの元になった(ECSC)。その後関税の撤廃に着手したECCを経て、人・モノの移動を自由にすることを目的にECとなり、経済・通貨・政治的な連合を目指してEUとなった。

 

EU

EUには3人のプレジデントがいて、EU大統領、欧州委員長、欧州議会議長がいる。G7には各国の首相に加えて、上記のメンバーが参加している。EU内はすべての国が行き来自由ではなく、シェンゲン協定加盟国のみ。

EUはユーロという統一通貨があり、欧州中央銀行が管理しているが、各国の中銀が無くなったわけではなく、欧州中央銀行と連携してEUの金融政策を決めている。ドイツには都合がいいが、フランスにとっては都合の悪い金融政策とならないように相談する(ユーロシステム)だが、景気が良い国と悪い国があるので公定歩合をどうすべきかという問題になる。財政赤字が深刻だったギリシャをドイツが主導して財政緊縮を断行した(過剰な社会保障の廃止など)そしたらギリシャ国民はドイツを毛嫌いするようになった。

 

ヒトラー

ヒトラーはクーデターではなく選挙で首相まで上り詰めた(そのため戦争の大罪を国全体で背負うことになった)

ヒトラーは経済がうまく行かないのはユダヤ人のせいであるとアジテートし、国民の不満のぶつけ先を作ることによって自身の求心力を高めようとした。そのぶつけ先はユダヤ人で、キリスト教を信仰する国においてイエスを処刑したユダヤ人への嫌悪感を利用し、ホロコーストと呼ばれるユダヤ人大虐殺を行った。(ユダヤ人は中世から土地の所有を禁止されるなどの差別を受けてきたが、差別意識が近世までずっと残っていた)

戦時中のドイツの所業を国民は大いに反省し、今でも片手を上に上げる行為(ナチスの敬礼)はタブー。また、街のあちこちにつまづきの石と呼ばれる実在のユダヤ人の名前を刻んだプレートを道に埋め込んであり、常に過去の歴史と向き合っていくという意思表示となっている。

 

東西ドイツ

戦後、西ドイツは非軍事化が進められたが朝鮮戦争を切っ掛けに再軍備NATOに加盟(日本とは敗戦国として同じような境遇だったが、ここが明確に違う)東ドイツソ連による社会主義国化を恐れて西ドイツへ亡命するために、西ドイツへ自由に移動できる西ベルリンに逃げ込もうとする人が多かった。そのため、西ベルリンをぐるっと囲んで(これがベルリンの壁)西ベルリンに逃げ込めなくした。

ソ連の経済が危うくなり、ポーランドハンガリー民主化宣言するなどソ連崩壊の予兆が見え始めてきたころ、当局は西側諸国への旅行のビザ申請を明日から受け付けるというのを、広報官が間違えて即刻旅行解禁と発表してしまい。東ベルリン市民がベルリンの壁の検問所に殺到し突破、ベルリンの壁も壊され始める。(これは自分もテレビで見た記憶がある)

東西統一後、しばらくは東ドイツの生産性の低さが足を引っ張り国全体が低迷した。東ドイツと西ドイツで違った教育を長年行っていたため、東ドイツでは難民の受け入れに反対であったり、政治的ポリシーの違いが今も見られる。

 

ドイツの国民性

ドイツはWW1、WW2の2度敗戦国になっているが、WW1、WW2の間は21年しかない。なぜWW2を戦えるまでに短期間で復興できたかというと、ドイツはプロテスタントの中でも特にカルバン派の国であり、勤勉・倹約が美徳となっており、ストイックに働いた結果復興できたと言われている。国民性がなんとなく日本と似ている。

対して、現在経済危機に陥っているPIIGSは全て比較的楽観的な考え方をするカトリックの国だという。

 

感想

ドイツは戦争の反省を一生懸命にしたが、日本は近隣諸国と未だにギクシャクしていると書かれているが地政学的なことも絡むし、単純に比較できるものでもないだろう。そこまで書くならそう主張する根拠をしっかり掘り下げて書いてほしかった。

ドイツは大戦中に少数民族を迫害した反省から、移民、難民を無制限に受け入れている。しっかり住む場所、給付金も支給している。何故こんなことができるんだろう、たしかにS&Pなどのソブリンリスク評価などでは世界トップなようだが、そこまでやると国民から「やりすぎだろう!」という批判は当然あると思う。現状ではそれよりも肯定派の国民のほうが多いということなのだろうか。ただし、「ドイツのための選択肢」という右派の政党が躍進しているとのこと。これからどうなっていくんだろうか?

ドイツはすごい国だと思っていたが、思っていたよりもすごい国あったことがわかった。EUのリーダーとしての国際的振る舞い方が人類代表のような雰囲気がある。ドイツには是非訪れてみたいな。