虚構 堀江と私とライブドア

 

虚構 堀江と私とライブドア

虚構 堀江と私とライブドア

  • 作者:宮内 亮治
  • 発売日: 2007/03/24
  • メディア: 単行本
 

 

ライブドアNo.2だった宮内さんの自叙伝。

堀江さんと違って一般人の感覚に近い感じがあり、共感しやすい。また、逮捕された事件について、堀江さんとは違った視点で語られており事件を多面的に捉えることができるので面白い。宮内さんの方がより多くを語っているので一連の出来事の詳細までよく理解できる本であった。

 

事件に対する双方のスタンスは以下なのだが、

堀江さん:知らなかった
宮内さん:知らなかったはずがない

これの言い方を見ると、もうちょっと詳細な事情あるんではないのと感じた。
ここからは私の完全な妄想、憶測である。

 

知らなかったはずがないという言い方は、宮内さんが自分で堀江さんにかっちり説明して堀江さんの理解と同意を確認したというニュアンスが薄いような印象を受ける。(実際、p.41には堀江さんを丸め込んだという描写がある)宮内さんも、実務面では自分がライブドアをリードしていたと自負しているのだから宮内さんの裁量で進めて、形式的に報告して、といったところだったのではないか。あるいは堀江さんの専門外の財務の込み入った領域なのであまり理解できていなかったか。

 

そのような状況であれば、堀江さんが「そんなことは知らなかったし、会社の最高責任者だからといって全責任をとって刑事罰まで受けろというのは容認できない」というのは納得ができるものである。

宮内さんは、上場を機に、証券市場を自在に使い、ハイペースで株式時価総額を膨らませ、そのパワーでM&Aを仕掛けてさらに大きくなっていくというライブドアのビジネスモデルを実現するスキーム自らが考え、首尾よく遂行したおかげでライブドアの株が上がって筆頭株主の堀江さんの資産が爆増したにも関わらず、芸能人かのように遊びまわって会社を顧みなくなった堀江さんに辟易していたんだろうし、裁判での知らなかったの証言で最高責任者として仲間を守ることをしなかったことが許せなかったので法廷でも徹底的に争うような形になってしまったのだろう。

もしかしたら堀江さんと他の仲間を分断させて、再び集合させないようライブドア残党を綺麗に分断するという検察の高度な誘導もあったのではないかということも勘ぐってしまう。

ただ、堀江さん、宮内さんの意見として共通していたのはM&A虚業マネーゲームだのというのはナンセンスだという点である。今から考えるとポータルサイト事業者が、ポータルサイトとのシナジー効果が高そうなサービスやコンテンツを持つ会社を買収するのはもはやビジネスの教科書通りとも言える。

この点について世の中の意識を変える一つのきっかけとなった出来事だったのだなと思う。