海の向こうで頑張る人

小学校からの付き合いでジュンキくんという男がいる。
彼は日本で勤めていた会社が事実上倒産したのを契機として転職し、
得意の中国語を生かして中国で働くことになって数ヶ月が経った。
彼は日本にいるときから常にアジア、特に中国のマーケットを獲ることの
重要性を説いていたので、念願かなってその最前線にいけることとなり
嬉々として過ごしているようだ。


そんなジュンキとのメールでのやり取りを抜粋。

こっちきて色々思うことがあるけど、特に仕事観の違いは面白いね。
日本では仕事に求めるものに、「やりがい」とかそういう抽象的なものを
求める傾向があるけど、こっちはまず「カネ」。
生きていくのも精いっぱいの人がいるなかで「やりがい」とか言ってられないってのもある。
それに努力すれば、給料は青天井なので、みんなものすごい努力する。
(格差もハンパないので、社会全体でそれがいいかどうかは別問題だけど)
何か「やりがい」って結局は、本人の仕事の捉え方次第なわけで、
成長が頭打ちになった日本で幸せを感じるために、
そういう志向にならざるを得ない社会の流れなのかなって思うよ。
やりがいのある仕事がありますっていう会社より、頑張ってくれたら
ばんばん給料あげますっていう会社のほうが誠実だと思わない?

次に消費について
こっちの人は消費欲がすごい。貯金が趣味ですっていう人なんかいない。
何でかって考えると将来への希望的観測があるかないかなんだよね。
今後も給料が上がり続けるってわかってれば、ローン組んで家も車も買うし
貯金も必要ない。将来が不安だからお金を使わなくなる。
これってきわめて合理的な購買行動だよね。
倹約を美徳とする日本人的な道徳観とかもあるのかもしれないけど
頑張ってお金稼いで、ぱーっと使って、また頑張ってっていう生活が
中国では社会全体に活力をもたらしてるっていう感じがする。
これが世界の成長エンジンになってる中国(GDP成長率年9%)と
先進国で最低成長の日本(GDP成長率年-15.2%)の違いなんだろうね。

最後にグローバルな視点について
総論として日本はとにかく内向き。
たとえばアメリカで流行ったサービスがあります。市場規模は3000億円です
日本は人口から言ってアメリカの4分の1ぐらいの規模なので市場は700億円です。
だからシェアを15%取れれば100億円の売り上げが見込めます。
みたいな話が多いのに対して、
中国はベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア、香港、台湾
シンガポール、マレーシアとかこの辺は全部華僑とかが国をリードしてるから
(陸続きの国だけ見ても14ヶ国)最初からその辺も見てる。心理的な壁もない。
しかも国内のマーケットだけでも13億
東アジア+東南アジアで30億のマーケットかっさらえば世界のデファクトスタンダードでしょ
日本なんて相手にしてないよ。
日本人が過剰品質なものにこだわって1億のマーケットでちまちまやってる間に
世界の中での存在感はどんどん薄くなってる。
まず日本で売れる→世界に進出 じゃなくて
日本でまったく売れなくてもいいから最初から世界で売れるもん考えろよと。
一人当たりのGDPが減るってことは、生活水準が下がるってことだからね。
俺らがおじさんになる20年後に日本人はどんな生活をしてるんだろうか。


経済学の観点から、日本と中国の違いについて語ってくれている。
こういったことは本でも分かるかもしれないが、ジュンキのように「肌で感じる」
ことが大事だと思う。これからジュンキは思い切って海外に飛び出した人にしか
分からない本質的なものを掴んでいくと思う。


それ以外にも、日本から出て、どういう生き方が幸せなんだろうかとか
人生についても色々考えるところがあるようで帰国したら是非熱く議論したいね(酒)