会社は2年で辞めていい

以前「転職は1億円損をする!」と言う本の中で、
この本についての批判的な意見を目にした。
全くの対極にあるような2つの考え方を対比し、
自分なりの答えを見い出したいと思い、手に取るに至った。


「転職は1億円損をする!」についてのレビュー
http://d.hatena.ne.jp/shoheigold/20081129/1227959951


会社は2年で辞めていい。
これまたすごい暴論だが、もちろん前向きな意味でどんどん
ステップアップしなさいよという内容だ。
転職したい人がこれを読んだら背中を押されるだろう。


実際読んでみると2つの本は全く正反対かと言うと、そうではない。
二人の著者の意見には共通することがある。
転職する際の条件には慎重になれということだ。
1億損するの著者は、慎重に考えた結果大概の転職は損だぞとなり、
2年で辞めていいの著者は、慎重にかつ大胆になるべきだと説いた。
そもそも、ターゲットが違うのだ。
実力があって燻っている人間が、適材適所の場所に異動するのだから
これほど自然なことはない。
1億損するは、適材適所ではない安易な転職に対する警鐘だ。
特にネガティブな理由での転職は止めておいたほうがいいと感じた。


第一章の「今の時代を働く考え方」が非常に興味深い内容だった。
働く人には大きく分けて4つのカーストがあるという。
エクイティ、ボーナス、サラリー、フリーターだ。
私はもちろんサラリー層。
著者は、仕事のやりがいの大部分が報酬・評価にあると感じている人は
まずはボーナス層(トレーダー、セールスマンのように営業成績で
収入が大きく変化する層)を目指すべきであると説いた。
システム業界における、ボーナス層とはどの職種のことをいうのだろう。
この本は金融業界に限定した内容が多い気がした。


収入が多くなる人と言うのは以下の条件を満たしている。
・お金に対する立地条件がいい(直接動かしているお金がでかい)
・会社に対する影響力が大きい
(有力な顧客を抱えている、特殊なノウハウを持ち取替が効かない)


私は2つとも全く満たしていないことに気づいた。
職場ではラインリーダーをやっているが、とても規模が小さくて、
せいぜい自分と後輩の分の食い扶持だけを稼いでいるに過ぎない。
さらにWebアプリケーション開発者というのはいくらでも代わりが効く。
もっと会社に貢献できるノウハウを身に着けないとこの状況から
脱却できないと言うことだ。


成果主義に関する話もうなずける話がある。
①陽気な成果主義
 貢献に対するボーナスが青天井、対価が見合っている
②陰気な成果主義
 グループに支払うボーナスの上限がある、相対評価
 目標の達成率で評価されるが、自分の仕事が専門的であり
 他人に分かりにくくなっている場合、能力を小出しにした
 目標設定をしがちになる(これは完全に自分!)
 これでは自分の限界を超えた仕事は出来っこない!
よほど高給な仕事でない限り陰気な成果主義の会社ではダメだと思った。


2章から最終章に掛けては堅実に転職を成功させるバイブルのような内容だ。
転職経験の豊富な著者による転職のイロハが詰め込まれている。
本気で転職を意識し出した頃に是非もう一度読み返してみたい良書である。