日本型AIビジネスモデル

 

俯瞰図から見える日本型“AI(人工知能)"ビジネスモデル

俯瞰図から見える日本型“AI(人工知能)"ビジネスモデル

  • 作者:大野 治
  • 発売日: 2017/12/14
  • メディア: 単行本
 

 

2年ほど前、ディープラーニング検定という資格を取得して体系的に学んだつもりだったがかなり忘れてしまったので再度詰め込みなおしておく。
バックプロパゲーションとかあったなぁ・・って感じ。

 

統計学には大きく2種類あって、以前はネイマン・ピアソン統計学が主流だったが
現在ではベイズ統計学が主流になりつつある

ネイマン・ピアソン統計学は、サンプリングで病気の罹患率などを”客観的に”調べる用途で使われ(サンプリングによる誤差は数学的に求める)
ベイズ統計学は今与えられている情報から考えられる最も可能性の高いのはこれであると”主観的に”推定する目的で使われる。
ベイズ統計学は客観的な真実(大量のサンプルデータ)がわからない状況で効果を発揮する。(=データ数が少なくても成立する、データ数が増えるほど精度向上する)
マイクロソフトベイズ統計学を経営指針の一つに挙げているとのこと。

■ 機械機械学習と深層学習の違い
機械学習=与えられたデータを忠実に再現する関数を作ること、勾配降下法(変数の重みづけを機械的に調整して最適な状態を探索する)で学習を効率化する、説明変数に何を用いるかは人間の匙加減であって恣意性が入りやすい
深層学習=自身のどこを修正すればよいかを自分自身で学習する誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)を使う
     変数が多い場合に強い(=次元が多い)
     説明変数に何を用いるかに人間が介在しないので恣意性が入りにくいが説明はし辛くなる

■ 経営改革のためのAI活用
よくある経営課題
Q1. あのサービスは、具体的にどの業種で、年商は、地域は、どの顧客層を想定しているのか?ターゲット顧客のリストはあるか?

Q2. あのサービスは今後伸びるはずだから、既存顧客を囲い込みたい。顧客毎にどの商品を推奨すべきなのかを特定し、戦略を立案してくれ。

Q3. このままでは予算が未達成になる。「顧客が何を求めていそうなのか?」を予測し、何を売り込めばいいかを顧客毎に特定し、攻勢を仕掛けてもらいたい。

A1.
顧客分析の代表例はサポートベクターマシーン(SVM)と決定木。両方とも機械学習の基礎方程式を用いてn次元空間上の点を「購入した顧客の密集する領域」と「購入しなかった顧客の密集する領域」とに分割するもの。

SVMは最もよく分離する「超平面(サポートベクトル)」を探すもの。最も分能率が高いが、SVMによる高次元空間上の次元軸には業務的な意味を持っていないので、分離した結果を元データによる低次元空間に逆写像して戻しても「この範囲が購買層」という表現ができない。そのため精度が高いにも関わらず使いづらい。

決定木は最も買った/買わないの決定要因になった属性項目を機械学習で特定して分割し、それを何度も繰り返していく。そして「購入顧客領域の中にいる未購入顧客」こそ、営業開拓の可能性の高い「ターゲット顧客」だと特定する。決定木では分析結果を「購買層とはココである」という言葉で表現できるのでビジネスには重宝される。ただし、延々と繰り返される分割をどこで止めるかについては人間の恣意性が入る。また、微妙なデータの違いによって全く異なる答えを出す繊細な作りになっている。(このような学習データに過度に依存した答えを出す現象を過学習という。商品毎の過去の購買データが整理されている場合は「ランダムフォレスト」という手法を用いて過学習を解消することができる)

A2.
AIを用いた推奨システムの代表例は「アソシエーション分析」と「強調フィルタリング」
インプット情報は、特定の商品に関する顧客毎(n人)の「買った/買ってない」の購買データであり、n次元のベクトルとして取り扱うことで「すべての商品はn次元空間上の点である」と捉えることができる。
アソシエーション分析では、このデータを用いて「aを買った人が、cを買う確率」をベイズ統計で算出し、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と商品を薦めるものだ。もし、IT部門が顧客情報を経営戦略用に整備(顧客の業種、年商、売上伸び率など)をしていたら、「商品aを購入した業種O、年商Q、売上伸び率Rの顧客が商品Xも買ってくれる確率P(X|a, P, Q, R)が最も高くなる商品X, 業種O、年商Q、売上伸び率Rの組み合わせは何か?」など、ターゲット顧客層別に推奨する商品Xをきめ細かく特定することができる。

A3.
強調フィルタリングは顧客に注目し、特定の顧客の商品数(m種類)の購入履歴をm次元ベクトルと解釈することで、すべての顧客はm次元空間上の点であると捉える。これを機械学習によってm次元空間上にクラスタリングして、同じ購買傾向がある顧客を特定し、「あなたの購買傾向からお薦めの商品があります」と商品を薦める。

 

GEが早くから取り組み、全事業に展開して武器としている異常検知のAI(類似度ベースモデリング法)の話が参考になった。