堕ちた翼

 

堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産

堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産

 

半沢直樹をより楽しむため、モデルとなったJAL倒産を詳しく知ろうと手にとった。
知りたかったタスクフォースの結成経緯、そして失速の様がよくわかった。

先送り、無責任、主体性に欠くという悪しき文化を醸成された経緯をJAL設立まで遡って詳かにしている。さらに、コーポレートガバナンスが機能していないこと、キャリア組、現場組、とはっきり隔てられている弊害も大きい。正直、登場したJAL関係者全員が酷すぎて呆れる。為替で大失敗した歴史を顧みず、燃料のデリバティブで大損こく。ほんの十数年前の話とは思えない。
何故、ANAは問題なくて、JALだけがこのようになったのか。不思議でならない。本書で書き切れていない遠因が無限に出てくる気がする。

本書では、実名で首相官邸内での会議の様子等も明らかになっている点が素晴らしい。リークして良かったのだろうか?また、JAL倒産問題が出た時にちょうど政権が民主党に変わっていたので、JAL社内にタスクフォースが入ってきた時に、政権政党の懇意にしている政治家に泣きついて潰してもらうということができなかったという描写があったが、政権交代することのメリットを見た気がする。

そして、JALも悪いけど、政治家や航空官僚も大概ではないか。国交省が重要な権限を全て掌握していることをよいことに、天下り先を無思慮に作り出し、地方空港を我田引水。JAL再建に伴い、その辺りも是正されたのか非常に気になるところだ。